工藤建設の注文住宅「フローレンスガーデン」の最大の特長は現場へのこだわり。
現場力がきっかけで生まれた運命的な出会いが織りなした狭小住宅プロジェクト。
お客様の夢と、それに応えるプロジェクトメンバー全員の情熱によって、多難を乗り越えて結実したストーリー。
今回のプロジェクトから遡ること1年前。都内のとある住宅地に新居建築中の現場が2軒並んでいた。 1軒は工藤建設のフローレンスガーデン、あとの1軒は他社ハウスメーカーの建築物件である。「ひとつの土地を半分に分割したかたちで、その片方を私どものお施主様が購入されました。2軒並んだ建築現場は、ほぼ同時に動き始めたんです」と当時の営業担当、大芝晃一が振り返る。フローレンスガーデンの家づくりは徹底的に現場にこだわる。
「我々は家づくりの夢を体感していただくために、積極的に現場をお見せしています。百聞は一見に如かずでフローレンスガーデンの住みがいを追求する住宅品質を一番わかりやすくお伝えできる方法ですから」。
そのためフローレンスガーデンの建築現場はつねに整理整頓されており、近隣への配慮も徹底している。その点、他社と横並びになったその2つ現場の違いは一目瞭然の光景となった。 その場所を興味深く観察していたのが、今回のプロジェクトの施主、S様ご本人である。
銀行に勤務するS様は当時、社宅を出る時期が迫っていたこともあり、家づくりについて思案しながら会社へと向かっていた。マイホームへの夢と憧れ。それは家を建てたいと思う人なら必ず抱く感情だ。そんな時に目に飛び込んできたのが、横並びで同時に建築されている異なった2軒の住宅。
珍しい光景に映り、通勤途中に通る場所だったため進捗を観察するのがS様の日課となっていく。片方の現場は、薄暗い印象。周辺は雑然としお世辞にも綺麗とはいえない。対照的にもう一方はいつも整理整頓が行き届いており、明るい雰囲気。「その状況をご覧になり、当社に好感が持っていただいたそうです」と大芝は誇らしげに語る。
その後、工藤建設の構造現場見学会に参加したS様を対応した当時入社1年目の森田浩嗣は、こう述懐した。「やはり実際に工藤建設の建築現場を目にされたお客様の印象というのは、ものすごく強いものなんだなと感じました。S様は初めから我々を信頼してくださっている感じがありました。お客様との運命的な出会いでもあり、ある意味必然でもある訳です」。
森田が最初に直面した課題は、土地探しだった。「S様のお嬢さんは当時、小学6年生で、進学される中学校の近くに新居を建てたいと。ところが、条件に見合う土地がなかなか見つからなかったんです」。フローレンスガーデン事業では不動産の仲介業務は行っていないが、住まいのプロとして建築上のアドバイスやサポートを行う。
森田の上司である大芝も協力し、ご希望地域に良い土地はないか、汗水を垂らして奔走するものの一向に見つからなかった。S様も諦めかけていた時、キャンセル物件が発生。森田は早速、S様とともに現地に向かった。「狭小地でしたが、地下室をつくれば大丈夫と、即決されました。嬉しさとともに、これは良い家を建てなければと、プレッシャーも感じましたね」。
ようやく見つかった土地は、14坪ほどの狭小地。ご家族3人が室内に手狭さを感じることなく快適に暮らせる家を建てるには、居住空間を最大限有効に確保する3層設計が条件となった。また、前面道路に若干の勾配もあり確かに「難しい敷地」の仕事だ。しかし、こうした制限のある土地物件だからこそ、デメリットをクリアして創り上げる家の価値が高いことを大芝も森田も直感していた。
当時の心境を振り返る大芝の弁が、工藤建設の家づくりにかける想いを集約している。「とにかく最強チームを結成して、ご家族の夢を叶える理想邸を建てる。その想いだけでした。難しい条件は、むしろ大きな感動を提供できるチャンス。実現すればそれだけ喜びも大きいわけですから」。
傾斜のある土地を有効に使い、付加価値を生み出すフローレンスガーデン独自の建築手法が、半地下付きの住宅である。今回の勾配のあるロケーションにも取り入れやすく、地下を駐車場に充てるのではなく、生活空間に使いたいと考えるS様の意向にもフィットする。 このプランを件(くだん)の狭小地の現場で実現したのが、現場監督を任された畑秀平だ。工事課の若手のなかでも出色の人材である畑は、狭小地特有の制限が多い環境を物ともせず資材の搬入時間、足場の組み方を工夫し、合理的で精度の高い施工を遂行していった。
また、工事中の騒音対策など近隣への対策も徹底した。畑はこう述べる。「お施主様と周辺住民の方々との関係がうまくいくように建築中、十分に配慮することが大切なんです。家を建てる期間は数ヶ月ですが、建てた家に暮らすのは、もしかすると一生かもしれませんからね」。
6か月に及ぶ個人住宅の建築としては長丁場の工期となったが、見事にS様邸が完成。敷地が狭いことを忘れてしまうほどの豊かな空間と機能的かつ快適な3層住宅を創り上げることに成功した。狭小立地という難題をクリアし結実した理想邸。「家づくりは三度やって初めて成功するといわれますが、一度で成功に導くのが我々の仕事。S様の邸宅もしかり。誰ひとり欠けても達成できないプロジェクトだっと思います」。 大芝の言葉に深く頷きながら、感慨深い表情を見せる森田と畑であった。